力を合わせて採用活動
採用担当者の方や採用チームには「採用活動の成功」という重要なミッションがありますが、採用活動の成功だけでなく「採用力の向上」ということも同時に行っていく必要があります。
採用担当者個々の能力向上や、採用ストーリーの強化、プレゼンや担当業務の見直しなど、採用チーム全体の力を押し上げていくことなど、やるべき事は沢山あるのですが、採用担当者や採用チームの力だけで行うには限界があります。
採用活動では様々な場面において、採用の部署以外のメンバーにも、採用業務のお手伝いを依頼するケースがあります。そしてその場面を用意することが結果的に、自社の採用力向上に繋がっていきます。
代表的な例としてよく挙げられるのが、新卒採用において1年目や2年目の先輩社員や、若手でメンターになりそうな社員に協力してもらい、説明会などで現在の仕事内容や、入社理由などを学生に伝えてもらうことなどがあります。
こうした業務を経験して頂くことで、結果として採用業務に携わることが出来るメンバーが増えたり、改めて彼らの話を聞く過程で、採用担当者や採用チーム内で新たなコンテンツの発見に繋がるケースもあります。
自社の話は意外に難しい
若手でメンターになりそうな社員に協力をしてもらい、説明会などで現在の仕事内容や入社に至った理由などを学生に伝えてもらう。
これだけ聞くと、比較的簡単に聞こえるのですが、≪自社のこと、その魅力や強みを話す≫というのは、案外ハードルが高く難しい行動なのです。
それでは営業として、自社の商品やサービスを長く扱ってきた方が話をしたらどうか?と思う所ですが、社歴のある別部署のメンバーであったとしても、普段から採用活動に関わっていないとやはり勝手が違うものですので、若手や入社まもない新人にとっては尚更難しい行為です。
以前採用活動に関わっていた担当者だったとしても、特に新卒採用は世代によって、売り手市場・買い手市場とマーケットも異なります。
例えばキーワード一つ取っても、ハガキ、リクナビ、マイナビ、メール、LINE、オワハラ、ガクチカ、オヤカク、ソー活、キチョハナカンシャ、お祈りメールなど時代によって、年度によって様々なトレンドが存在します。
現在の市場、話しの落としどころ、その話の中で何を伝えて欲しいのか?目的は?など、現場に連れて行って経験を付けるのも大切でなのですが、その前に「現在の新卒採用市場や貴方の役割」についてしっかりと説明をしましょう。
何もない状態で、すんなり入っていくことが出来た例を我々も殆んど見たことがありません。
採用に関わる人を増やしていく
以前あった事例を一つご紹介します。
はっきりとした採用部署がない企業様だったため、それまで社長様と二人で採用活動を行っていましたが、採用活動全体に少しバリエーションを加えようと、学内合同説明会を前に、3名の若手社員に採用活動を手伝ってもらうことにしました。
まず初めに彼ら3名を集めて、現在の採用マーケットについての話・先輩社員としての目的・やってほしいこと・今回のイベントの趣旨と流れを伝え、一緒に合同説明会に参加して頂きました。
始めてのイベントだったため、当日は多少学生の質問への回答などで少し話をして頂く程度で、とりあえず流れを見てもらうことを目的として、出身大学の学生を(1名いたので)そのままキャリアセンターに向かわせて、別で行われる学内イベントの参加を取り付けて頂きました(あえてスマートでない感じで)。
無事に参加枠を抑える事が出来たので、当日に向けてシナリオや質問項目をこちらで考え再びミーティング、質問の意図と回答の方向性をすり合わせ、当日はその流れで話をしてもらいました。
初年度は、緊張感もあったものの、セミナー全体の司会を社長様に努めて頂き、何とか採用も1名することが出来ました。
その後、イベントに引っ張り出して話をして頂くことも増えたのですが、採用活動を頻繁に手伝ってもらうようになると徐々に慣れていくから面白いものです。
学内イベント1年目は、事前の打合せ内容だけを話していた新人が、2年目の同じイベントでは当日起きたアクシデントを物ともせずに、アドリブを交えながら学生を笑わせていました。
社内の中で、採用活動のステージに上がれる仲間を作っていくもの、採用担当者の仕事であり、楽しみの一つだと思っています。
継続していく中で、採用活動に参加している意識が根付き、協力者となっていきます。そしてその学生が入社した後、自然と気にかけるようになり、退職の抑制に繋がる可能性も出てきます。