インターンシップの歴史と現状
インターンシップとは、かつて海外で優秀層を採用するために行われていた活動で、日本においても長期休暇中の就業体験という位置づけであり、参加する学生・実施する企業共に少数でした。
しかし求人情報の広報開始時期(ナビサイトのオープン)が3月と後ろ倒しになった 2016卒採用から、早期からの母集団形成としてインターンシップに注目する企業が増加し、ナビサイト各社もインターンシップサイトに力を入れるようになりました。
当初は基本的に5日間以上という日数規定があったインターンシップですが、2019卒から日数規定がなくなったこともあり、より多くの企業がインターンシップを開催するようになりました。
今回は、応募率9割超、平均応募社数7.7社、平均参加社数4.9社。就職活動の一環・スタートという位置づけに変化したインターンシップの事例を簡単に紹介します。
認知目的の「説明会型」インターンシップ
「説明会型のインターンシップ」は、1dayインターンシップの開催が可能となったことで、ここ数年インターンシップの増加と就活の早期化に伴い増えてきたプログラムです。
「まずは、会社を知ってもらおう!学生の目に留めてもらおう!興味を持ってもらおう!」という広報の目的や、業界や仕事内容を正しく理解してもらうための入り口として実施していることが多い印象です。
一ヶ月や数週間などの中長期型インターンシップに比べ、半日開催など短時間で業界研究することや企業についてを知ることができるので、学生にとっては参加のハードルも低く、広く業界や企業認知に繋げることができます。
また企業側も人事部や採用チームのみでプログラム構成をすることが可能なので、比較的実施のハードルが低いものが多いです。
始めてインターンシップの実施を検討する場合、まずはこちらのバターンから実施すると良いかもしれません。
国内大手化学メーカー
事務系職種を対象としたプログラムです。会社概要の説明・社員密着映像の視聴・社員との座談会を通して一通りの企業について知ることが可能です。プログラム全体が2時間程度で終了するので、手軽に実施することができる内容です。
ジェネリック製薬メーカー
医薬品業界や製薬会社における仕事を紹介するのが主な内容のプログラムとなっています。
サポートエンジニアリング
「IT業界とは?」という初歩的な学びからスタートする業界研究セミナーと、
合わせて会社や事業について紹介するプログラムです。
詳しい仕事内容を知る「実践型」インターンシップ
新聞社
1回50名程度の学生を集めて二日間に渡っての実施しています。質疑応答のシミュレーションや、記事執筆の添削、実際に議員の方に取材をしにいくという経験ができます。
金融関係
各回80名程度の定員。業務内容を詳しく説明した後、事業者向け融資審査の実務体験を経験することができます。
自動車部品メーカー
約2週間の実施。「モノづくり」の基本となる、研究・設計・生産技術などの技術系の職種を、それぞれのテーマに則り体験することが可能です。
航空会社グループ
グループワークを通じて、グループに所属する各社がどのような所で役立っているのかを知ることができます。また、同社の業務である旅客機発着や非常時の搭乗員のスケジュールを組む業務を体験することもできます。
採用課や採用担当は、インターンシップの重要性を十分理解しているものの、「就業体験」という名の下で他部署や現場で学生の受け入れを長期間行い、実際に仕事を体験させることは多くの企業(部署)にとって難しことです。
そのため短期間で体験できる一部の仕事にフォーカスしてプログラム導入している企業も多い印象です。
また職活動全般に活かせるようなグループワークを取り入れているプログラムは、実際の選考場面の練習にもなるため好評のようです。長く採用業務に携わってきた担当者から一人一人にフィードバックをすると、さらに喜ばれるはずです。
どんな職場環境か?「雰囲気」重視のインターンシップ
新卒採用を行う中で、毎年多くの学生が知りたがる永遠のテーマが「社風」や「雰囲気」です。しかしこの二つは個人によって捉え方が異なってくるので、こちらから伝えるよりも本人に感じてもらう方が良いでしょう。
インターンシップにおいても、社員と交流をしてざっくばらんに話をしてみたり、工場を見学してみたりする中で事業だけでなく社風、仕事のやりがい等を感じることが出来ているようです。
エネルギー・インフラ
理系向けの長期インターンシップが人気の会社ですが、他にも部門(事業部)毎、職種毎のコースで受付を行い、各先輩社員とコミュニケーションをとるコースも用意されています。また、理系・文系問わずに応募できるコースや、他にも実際に働く現場でもある工場を見学できるプログラムも用意されているようです。
製薬メーカー
生産技術職向けの1dayインターンシップでは、導入学習として仕事の概要を幅広く学習し、バーチャル工場見学、社員座談会を実施するため、実際に働く姿を想像することができそうです。
まとめ
徐々に巻き込んでいく
様々なインターンシップが行われていますが、 多くの採用担当者の中には、まだまだやってみたいインターンシッププログラムの企画があることでしょう。
インターンシップはプログラムの作成以上に「環境づくりと空気づくり」いわゆる社内における協力者を作ることが重要になってきます。採用に関わらない現場には、無駄な時間や労力に感じる人もいるはずです。いきなり全てではなく少しずつ、一人づつ仲間にしていきましょう。
動機形成でのインターンシップ
インターンシップを前半の母集団形成として使用するだけでなく、学生の動機形成に使ってみてはいかがでしょうか?
最近増えてきているケースとして、企業理解を深めるために、選考の過程でインターンシップに参加してもらっている企業もあります。
もしも複数のプログラムを実施しているようであれば、別のコースを案内して、企業理解を深めて頂いてもいいと思います。一度認知して印象の良かった会社のインターンシップには、参加してみたくなるものです。興味を持った会社のことや仕事内容についてはもっと知りたいと思いますし、先輩社員の話を聞いてみたいと思うはずです。
折角作り上げたインターンシップを、初期段階でしか使用しないのは勿体ないです。個別フォローをする時間がないケースなど含め、内定や選考中の学生にもインターンシッププログラムを体験して頂いてはいかがでしょうか?