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学生の大手志向と安定志向は本当か?

いつの世もある最近の若者論

「最近の若者は・・・」

その後に続く言葉は人それぞれで若干異なってくるとは思いますが、おおよその所は、少し物足りないというようなニュアンスが続くケースを多く見かけます。

「最近の若者は。。。」というフレーズは長きに渡って継承されてきたある意味日本の伝統的な言葉です。

たしかに自分たちの時代と比べた時に、少し物足りなくなる年代の方もいらっしゃるかもしれませんが、よくよく考えてみると、最近の学生(若者)は真面目で、そして大変だと思うことが多々あります。

パソコンもインターネットもなかった一昔前は、新しい情報を知っているだけで一歩先を行っているような時代でしたが、情報収集が容易に出来てしまう現代においては、情報自体の価値よりも素早い処理能力や応用力、まとめて説明する能力が求められ、付加価値を求められます。

恐る恐るパソコンの電源を入れ、人差し指でキーボードを叩くような人間が多数だった頃に比べ、パソコンを駆使してデータを扱いレポート作成する学生達。昔では考えられません。 (スマホが一般的になった昨今の学生は、再びPC能力が落ちているという話も一部では聞きますが。)

前置きが長くなりましたが、今回はそんな最近の若者たちの志向についての話になります。

学生の安定志向と大手志向

就活において学生の「安定志向」と「大手志向」についてはよく話題になるかと思います。

「最近の若者は安定志向だよね」「近頃の学生は、みんな大手志向だから」

こんなセリフをよく耳にします。

たしかに就活生に向けた就活のアンケート調査などでは、毎年一定数この項目を選択する学生は存在しますが、実際のところはどうなのでしょうか?

混同して捉えられることが多い、安定志向と大手志向。

別々にして考えてみましょう。

学生の安定志向

まずは安定志向の方から考えてみたいと思いますが、安定志向に関してはその通りという部分が強いです。

これはデータにも出ていますが、上昇志向よりも安定志向が強い傾向は90年代に比べて増加しています。

長く続いた不況や、今や過去の出来事となったリーマンショックの話を聞いたり、それを知っている両親からの話を参考にしていることも大きいと思います。
(最近の学生は両親の影響を大きく受けるので)。

冒頭でお話したように、現在は情報収集が容易な時代ですので、様々なネガティブ情報を聞く中で、「安定的に働ける環境」に魅力を感じているのでしょう。

安定というキーワードを聞くと、公務員志向という言葉を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、たしかに公務員を希望する割合は、景気の状況によって増減する印象を受けます。

いつの時代も「安定」という言葉が着いてまわる新卒の就職活動ですが、景況感を見ながらタイミングを計ることも出来る中途の転職と異なり、新卒での就活はタイミングを計ることが出来ないため、ある程度は仕方のないことだと思います。  

安定という言葉の一方で、昔に比べて転職市場が活発になっているのは、終身雇用という日本の労働市場における「当たり前・理想形」から、少しづつではあるものの脱却している傾向でしょう。

学生の大手志向

続いて学生の「大手志向」についてですが、「大手志向」というのは、あくまで採用側や大人たちが抱くイメージが先行している部分が大きいのではないでしょうか?

ここ十数年に関して言うと、企業規模に対する意識というのは、世代間によってそれほど変わりはなく、どの世代も50%前後になっています。

にも関わらず、学生は大手志向というイメージがあるのは、学生の口から大手企業の名前が挙がるケースが圧倒的に多いからではないでしょうか?

ほとんどの就活生は、企業名といえば大手企業の名前くらいしか知りません。 なかには、業種区分さえ正しく理解していないこともあります。その結果、出てくる企業名が大手企業に偏るのは当然のことです。

むしろ「大手志向」という言葉やそれにまつわる数字に関しては、大人たちの功罪も大きいような気がします。

イベント集客のために「誰でも知っている会社名」を大きく記載しますし、大手企業に就職してほしい大人が周りに多ければ多いほど、学生はその名前を認知して大手志向になるはずです。

学生の情報収集だけでなく、就職支援に携わる人々が少しでも中小企業の良さを伝えたり、認知を上げていくように心掛けることが、学生の大手志向是正の第一歩なのかもしれません。

今回の結論ですが、

学生は、タイミングによって安定志向が多いかもしれませんが、決して大手志向というわけではなさそうです。