採用は迷ったら採らない
我々が採用活動を行っていく中で、強く意識していることの一つに「迷ったら採らない」というルールがあります。
選考時、不合格や合格を即決できるような応募者の場合は、その場ですぐに結論が出るので良いのですが(もちろんその場で結果は伝えず何日か待ってから通知しますが)、合否に関して迷うケースもあります。
能力的には問題ないのだが、何か引っ掛かる。
現場での能力を考えた時に少し物足りないような気がする。
人物的・能力的に問題はないが社風が合わないような気がする。
などその理由は様々です。
その選考が一次面接など、次に改めて選考が控えている状況であれば、別の目でジャッジ出来るので「通過」させることもありますが、内定を出すかどうか?というタイミングになった際は非常に悩みます。
これまでの情報だけで本当に良いのか?まだ足りない情報や見えていない部分があるのではないか?完璧に見極めることが出来るケースなどはないと思いますが、やはり悩むことはあります。
そんな時に決めているが、冒頭で書かせて頂いた「迷ったら採らない」です。
以前薬剤師採用において、改めてこのことを痛感した事例をご紹介します。
人員不足の薬剤師採用で迷う
薬局が繁忙期を迎える前は薬剤師の補充をしておきたいタイミングで、現時点でシフトが苦しい現場であればそれはなおさらです。
今年もあと一月ほどになった年の瀬、ある薬局に一人の薬剤師の応募がありました。
面接をする中で、薬局での薬剤師経験はそこそこあるのですが、若干仕事においてのスピード感が不足しているように感じました。(退職理由も現場の忙しさによるものでした)
この薬局は、他社に比べるとスピード感を求める企業文化だった為、採用活動においての広報も、そういったカラーやトーンで打ち出していたのですが、その薬剤師の方は自身のスピード感はその範囲内と捉えた様子でした。
選考当日の担当者や現場の薬剤師たちの対応の良さも手伝い、面接後の薬剤師の方の意向は予想通りぜひ入社したいというものでしたが、その報告を紹介会社の方からお聞きして、採用担当者の方と二人で悩みました。
そもそも今回の採用は、現場の忙しさで薬剤師が退職した欠員募集だったので、「忙しさ」に対しての耐性が必須であり、 「経験が足りなくてもスピード感がある(求める)タイプ」がペルソナとしての設定でした。
しかし採用担当者としては、一刻も早く増員したい現場の要望も汲んであげたい気持ちもあり、「忙しさは仕事の中で慣れるだろう」という自身の経験から、話し合った結果内定を出して入社にいたりました。
迷った末の採用結果は如何に?
選考の段階で迷うケースは非常に多いですが、 基本的にお伝えしているのが
「迷ったら採らない」ということです。
選考時で受けた印象のバイアスがあるのかもしれませんが、迷った末に採用したケースは、当初懸念した点が原因でもめたり、場合によってはそれが火種で退職に繋がるケースが多いような気がします。
前述したケースはまさにその「迷ったケース」だったのですが、現場も採用担当もよく知っている薬剤師のメンバーだったので、シフト状況や空気を考えて採用に踏み切りました。
悩んだ末に採用したその薬剤師の方ですが、「忙しすぎてついていけない」という理由で2か月後に退職され、同時に再募集がスタートしました。
採用は難しいと改めて痛感しました。
選考を進める中で最終的に消えない懸念があって迷い、解消されない場合は、 もう一度考えてみてください。
今回は薬局の例ですが、サービス業などシフトが関わるような業態の、特に繁忙期前の採用はシフト組みとの闘いになるのでは頭を悩ませます。